成年後見

1.成年後見制度とは
・制度の概要
埼玉県内でのリフォーム詐欺事件以来「成年後見制度」という言葉を良く聞くようになりました。具体的にどのような制度で、どのように利用することができるのかを考えてみたいと思います。
「成年後見制度」は6年前の2000年に、介護保険法の施行と共に始まりました。それ以前は「禁治産制度」「準禁治産制度」(以降、一括して「禁治産制度」と言います)という制度がありましたので、この名前でご存知の方もいるかと思います。
この「禁治産制度」は、認知症(痴呆症)や知的障害者だけではなく、いわゆる「放蕩息子」にも適用され、また、禁治産者となると戸籍にそのことが記載されていました。この制度の内容は禁治産者から全ての権利を剥奪するというのが趣旨でした。したがって、禁治産者になると本人の意思は生活の中に反映されず自分の思うようには生きていけないということになります。障害者や判断能力の衰えた高齢者(以下、高齢者と言います)の財産を守る、ひいては生活を守るということでは大事なことと言えるかもしれません。
従来、わが国では、介護や福祉については、行政機関が援護、育成、更正に関しての行政処分としての「措置制度」「入所中心」の施策を実施していました。
しかし、近年、デンマークから始まった、高齢や障害等のハンディキャップがあっても、地域の中で自立して、その人らしい生き方を実現することを目指した社会福祉への転換がおこり、障害者や高齢者と「共に暮らす社会」という考え方(ノーマライゼーション)がヨーロッパを中心に広がってきていました。
このような状況で、わが国でも「与える福祉」から個人の意思を尊重するための「選択する福祉」制度にかわりそのための関係する法律の整備が行なわれて2000年の社会福祉法の施行、介護保険制度、成年後見制度へと「契約」を中心にした制度へと転換することになりました。
介護保険制度のスタートにより、障害の程度に応じて限度額がきめられた枠の中で、個人がサービスを受けたい項目を個々の要望に応じて利用することが、個々が希望するサービス業者を選択することが可能になりました。そして、障害の程度の認定や、サービス業者の監督を行政機関が行なうことになりました。
さて、成年後見制度とはどのような制度となったのでしょうか。成年後見制度も後見を受ける人の状況に応じてそのサポートをうける程度がきめられ、できる限り本人の意思を尊重するようになりました。

2.成年後見制度の概要
成年後見制度とは「本人が損をしないようにする」制度といえます。具体的には
@損得の判断ができない
A財産が管理できな
というような場合に使う制度です。
さて、成年後見制度には大きく法定後見制度と任意後見制度の二つがあります。そして、法定後見制度は補助、保佐、後見と分かれており、そのどれを適用するかは本人の「判断能力」によって選ぶことが可能です。法定後見制度の利用する場合には家庭裁判所に本人、配偶者、親族(4親等以内)、検察官、市町村長が申し立てを行ないます。そして家庭裁判所によって選任された成年後見人・保佐人・補助人が本人の利益を考えながら契約等の法律行為を支援していきます。
任意後見制度とは、本人に判断能力があるうちに、将来に備えて自分が代理人(成年後見人)を決めておき、面倒を見てもらう財産管理や療養などの内容ついて、公正証書を作成しておきます。そして、判断能力が低下してきたときに家庭裁判所に申して立てて監督者(成年後見監督人)を選任してもらいその下で代理人(成年後見人)に契約内容を実行してもらいます。

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